カウンセリングセミナー2020 上級コース

カウンセリングセミナー2020 上級コース

2020年の上級コースは、満席となり、締め切らせていただきました。たくさんのお申込をいただき、ありがとうございました。(2019.11.18)

現場を持つ専門職としてカウンセリング・ケースワークを広げる

リーフレット(PDF)
2020 案内リーフレットA4版6枚:セミナーの概要・参加資格・申込方法・日程・会場案内・講義内容などが記載されています。
以下、このページの本文にその要約を載せています。

コースの概要

I.上級コースでは〈見立て8型〉を完成させ、理解を深めます

クライアントの悩み・不適応の本質を8つに分類します。この分類方法が セミナーの中心となる考え方〈見立て8型メソッド〉です。
上級コースで見立てを8型に拡張することで現場でのほぼ100%の事例に正しい見立てを作れるようになります。

全8型は次の通りです。 ( 青番号:基本4型、赤番号:上級コースで新しく学ぶ上級4型)

定型心理発達
1.学童期/「成人学童期」の葛藤と不適応問題、その身体化症状
2.思春期の葛藤とその精神症状・行動化 (親子間葛藤=反抗期、摂食障害など)
3.成人期の葛藤とその精神症状 (うつ病・アルコール依存症など)
非定型心理発達
4.被虐待者(=「異邦人」)の葛藤とその精神症状 (反復性うつ病・解離性障害など)
精神障害の心理発達
5.「軽度」知的能力障害・境界知能とその不適応問題
6.自閉症スペクトラム障害の症状・対人理解とその不適応問題
7.統合失調症・統合失調症型障害の症状・対人理解とその不適応問題
8.認知症・高次脳機能障害の症状とその不適応問題

II.基本コースで学んだ傾聴を土台にして、「治療のための傾聴技法」を学びます
基本コースで学んだのは正確な見立てを作るための傾聴です。上級コースではこれを土台にして、精神療法・カウンセリングを進め て心理的な解決(治癒)に到るまでの「治療のための傾聴技法」を学びます。この技法は下記の4つの段階で構成されます。
ステップ1.口をはさまないで、 黙って聴く傾聴…基本コースで学んだ「聴く3つの技術と4つの禁止」を守って聴く
ステップ2.語られる話の内容に、賛成して聴く傾聴…<見立て8型>で悩みを分類し、話された内容に賛成して聴く
ステップ3.言葉の背景に流れる、深い感情を聴く傾聴…感情の7つの階層を意識しながら、それぞれに同調して聴く
ステップ4.解決を予想して、葛藤を聴く傾聴…解決できない矛盾を聴き遂げる

III.見立ての〈全8型〉を応用して、よく知られた疾病概念を見立て直します

「双極II型障害」、「境界性人格障害」、「自己愛性人格障害」、「共依存」、「AC」、「バーンアウト症候群」など、精神医療やカウンセリングの現場でラベリングされることの多い疾患概念を取り上げ、その多くに見立ての誤りのあることを解明し、その歴史的背景を踏まえて解説します。そして、それらを見立ての〈全8型〉から再分類して理解を深めます。

IV.演習では、家族システム全体の理解とそれに係わる治療者/カウンセラー自身の理解を深めます
見立てを作る演習を一歩進めて、事例に登場する家族全員の見立て、さらに原家族の見立てができるようにします。

講師 高橋和巳 野口洋一
〈見立て8型〉を完成させ、その理解を深めます。(講義12時間)
「治療のための傾聴技法」の4つのステップを学びます(講義3時間)
誤ってラベリングされやすい疾患概念を〈全8型〉から見立て直します(講義6時間)
〈上級4型〉の見立てについて、実際の「逐語録」で演習します(演習15時間)
日時 全6回 偶数月の日曜日 午前10時~午後5時 講義3時間 + 演習3時間
場所 飯田橋レインボービル JR 飯田橋駅 西口6分 ・ 地下鉄飯田橋駅B3出口5分

受講のご案内

上級コースの日程と申し込み方法

日時と場所

■ 日程 偶数月の日曜日(全6回)
①2月16日(日) ②4月19日(日) ③6月21日(日)
④8月23日(日) ⑤10月18日(日) ⑥12月13日(日)
■ 時間 午前10時~午後5時 講義3時間(午前)+演習3時間(午後)
昼食:教室内で飲食ができます。ただし、ゴミは各自お持ち帰りください。

■ 場所 飯田橋レインボービル1F C+D 会議室(4/19は2F 中会議室)
JR飯田橋駅 西口 徒歩6分 / 地下鉄飯田橋駅 B3 出口 徒歩5分

参加資格
カウンセリング、ケースワーク、医療、保健、福祉、介護、教育、他の相談業務などに関わる有資格の専門職の方。
(2019年までのセミナーに参加された方はそのまま継続して参加資格があります)

1. 医師・保健師・看護師・精神保健福祉士・社会福祉士・介護福祉士・公認心理師・臨床心理士・産業カウンセラー等、専門資格(公的資格、民間資格を問いません)をお持ちで、守秘義務を十分に理解する方

2. 医学系・心理系・福祉系などの専門学校、大学の学生の場合は事務局で個別の許可を得てください。
守秘義務についての説明をさせていただきます。

定員 100名
原則として通年(全6回)参加です。定員に余裕がある場合に限り、各回毎にスポット参加を受け付けます。

参加費用
全6回(合計) 50,000
*分割可(25,000×2 回・・・1 回目:11 月~順次 / 2 回目:5 月)
スポット参加 10,000 円 / 1 回

支払方法:以下の②のメールでお知らせする指定口座にお振込みください。
入金された参加費はお返しすることができませんのでご承知おきください。
また、通年参加が前提のため、後半のキャンセルは受け付けておりません

申し込み方法

申込受付期間 : 2019年11月1日(金)~ ※満席となり、締め切りました
申込後、事務局から、①申込受付メール(自動返信メール)と、別途、②参加費振込のご案内メール(事務局担当者から5日以内)が届きます。
①あるいは②のメールが届かない場合は事務局までお問い合わせください。
※スマートフォンや携帯電話でのお申し込みも可能ですが、その際は事務局アドレス(info@hcm-seminar.net)からのメールを受信できるよう設定してください。

時間割

講義と演習 〈見立て8型〉を完成させる/治療のための傾聴技法を学ぶ

講義:10:00~13:00 演習:14:00~17:00

1. 2月16日(日)

1 <見立て8型>の全体像 10:00~13:00 講師:高橋
1 〈見立て8型〉を理解して、正しい見立てができるようにする
2 治療者・カウンセラーの視点=成人期の視点と「倫理規範」との関係を理解し直し、全体像を完成させる

2 治療のための傾聴技法 14:00~17:00 講師:高橋
・「治療のための傾聴技法」を治療段階と連動した4つのステップで学ぶ
・語られる言葉の背景にある深いレベルの感情を聴き分け、葛藤の解決へと到る道筋を予測する

2. 4月19日(日)

3 学童期と「成人学童期」(定型心理発達の心理) 10:00~13:00 講師:高橋
1 学童期心理と見立て方
2「成人学童期」の心理と見立て方
3 思春期(反抗期)を越えていない場合の心理発達の諸相

演習I. 「成人学童期」 14:00~17:00 講師:高橋
① 「成人学童期」の母と子の問題
② 仕事上の悩みで身体症状を訴える40代男性の事例
1.拒食症と母子関係を理解する
2.「成人学童期」の不適応問題

3. 6月21日(日)

4 統合失調症と統合失調症型障害(精神障害の心理-1) 10:00~13:00 講師:高橋
1 統合失調症の陽性症状と陰性症状を鑑別する
2 統合失調症型障害と家族問題
付 双極性障害について

演習II.統合失調症 14:00~17:00 講師:高橋・野口
① 初期介入事例
② 慢性期カウンセリング事例
1 統合失調症の発症の兆候を読み取り、早期の介入を試みる
2 慢性期の心理を理解する

4. 8月23日(日)

5 自閉症スペクトラム障害(含:広汎性発達障害/アスペルガー症候群) 10:00~13:00 講師:高橋
1 自閉症スペクトラム障害の心理と行動を理解する
2 他の障害との鑑別の要点

演習III.自閉症スペクトラム障害 14:00~17:00 講師:高橋・野口
① 母と子、双方の面接事例
② 知的能力障害との鑑別が問題となった事例
カウンセリングでの訴えや言葉から自閉症スペクトラム障害を理解する

5. 10月18日(日)

6 認知症・高次脳機能障害 10:00~13:00 講師:野口
1 認知症・高次脳機能障害
社会的地位の喪失と不適応問題を心理的に理解する
2 その対応の要点
演習IV.脳機能障害(精神障害の心理-2) 14:00~17:00 講師:高橋・野口
① 高次脳機能障害患者の家族カウンセリング事例
② 認知症とその家族の事例
認知症とその家族の反応から家族の見立てを作り、対応を学びます

6. 12月13日(日)

7 人格障害を見立て直す 10:00~13:00 講師:野口
1 人格障害の概念と論点の整理
2 人格障害10類型のそれぞれを〈全8型〉から見立て直す
3 反社会性人格障害/行為障害
4 境界性人格障害症例を読み解く

8 「共依存」・「AC」・「バーンアウト症候群」を見立て直す 14:00~17:00 講師:高橋・野口
1 諸定義や概念、その論点の整理
2 それぞれを<全8型>から見立て直す
3「共依存」症例を読み解く

講義・演習内容

〈見立て8型〉を完成させる/治療のための傾聴技法を学ぶ

 カウンセリング講義・精神医学講義

I. 見立ての〈上級4型〉を学び、〈全8型〉を完成させます。あらためて成人期の視点=「倫理規範」について考えます。

〈見立て8型〉の全体像と倫理規範との関係
上級コースで4つの見立てを追加して〈見立て8型〉が完成します。〈見立て8型〉は基本コースで学んだ通り成人期の心 理発達の視点から見た「悩み」と「不適応」の分類です。この視点が社会全体の中でどんな位置にあるのかを検討して全体 像を完成させます。参考例として社会の中で孤立して妄想様の被害感をもった被虐待者=「異邦人」の事例を提示します。
定型心理発達「学童期」と「成人学童期」
定型心理発達は①幼児期→②学童期→③思春期→④成人期と進みます。基本コースで③思春期と④成人期を学びました。上級コースでは②学童期を学びます。学童期は、親や先生の倫理規範(生き方のルール)をよく理解して、それに従えるという発達段階です。この段階での子どもの悩み(葛藤)は精神症状ではなく、身体化症状(腹痛・抜毛・チック)や行動化と して現れることはよく知られています。一方、暦年齢は成人に達していても心理的には学童期にとどまっている人がいます。 当セミナーでは「成人学童期」と名づけています。「成人学童期」の症状もまた身体化症状や行動化が中心です。講義では 思春期(=反抗期)を越えられなかった「成人学童期」の人がどんな不適応を起こしているかについて詳しく学びます。ま た親が「成人学童期」の場合、子にどんな心の問題が生じるかを、拒食症、不登校問題などを取り上げて検討します。

II. 〈治療のための傾聴技法〉を学んで心の理解を深め、治療の技術を向上させます。

基本コースで学んだ傾聴技法は①正しい見立てを作り、②援助者・治療者とクライアントの間の信頼関係を作るための技法 でした。上級コースではこれを土台にして「治療のための傾聴技法」の全体を学びます。この傾聴技法はステップ1から4 までクライアントの治療の段階によって進んでいきます。基本コースで学んだ傾聴技法はこの4ステップのうちの1~2に ほぼ相当します。語る言葉の背景にある深いレベルの感情と葛藤が見えると、問題の解決を予測できるようになります。

III. 精神障害・発達障害の理解を広げます。

① 統合失調症
統合失調症は慢性・遺伝性の脳疾患で、前駆期、急性期、寛解期、慢性期と特徴的な経過をたどり、経過中にまったく異なる2つの症状、〈陽性症状=急性の幻覚妄想〉と〈陰性症状=慢性期の生活障害〉が現れます。2つが混同されると疾病の本質を見逃します。また、各症状に対する治療法と対応できる専門機関も異なります。脳疾患としての精神医学的理解、疾病による喪失体験という心理的理解、そして社会適応を維持し生活障害を支えていくための支援の方法を概説します。また、統合失調症型障害は統合失調症の家族に多い障害です。これに気づかないと家族問題で混乱します。

② 自閉症スペクトラム障害(自閉症・広汎性発達障害・アスペルガー症候群など)
自閉症スペクトラム障害は対人的相互関係・社会関係の質的な障害です。これは知的能力障害者の「幼い愛着関係と未熟な社会適応の様式」とは全く異なるものです。自閉症スペクトラム障害はその知的能力の程度によって、適応の様式やその問題の現れ方は大きく相違し、見立ての誤りを招くこともあります。講義では「知的問題がない」事例をとりあげて自閉症スペクトラム障害の本質を理解し、その心理の動き、行動様式の特徴を理解し、他の発達障害との鑑別ができるようにします。

③ 認知症・高次脳機能障害
認知症・高次脳機能障害は脳の器質性疾患ですが、これらは発症するまでに一度は正常な心理発達を遂げ、成人として社会適応ができていた期間があるため、発病による能力低下が大きな「喪失体験」となります。発症は家族にも大きな心理的混乱と喪失をもたらし、家族の心理発達段階(〈見立て8型〉の組み合わせ)によっては支援・介護の中でさまざまな問題を生じさせます。家族のうつ病、高齢者虐待や障害者虐待などです。これらの関係を精神医学的、心理学的な視点から検討し、家族全体の見立てができるようにします。

IV. 現場で「見立ての誤り」の多い疾患概念を取り上げ、〈見立て8型〉からこれを学び直します
人格障害/「共依存」・「AC」・「バーンアウト症候群」を見立て直す
人格障害概念は、伝統的なドイツ医学や精神分析などから派出した全く異なる疾病概念が寄せ集められたもので、診断基準も、妥当性、信頼性に問題のあるものが少なくありません。その結果、人格障害の診断と治療の現場は混乱したものになっています。また「共依存」・「AC(アダルトチルドレン)」・「バーンアウト症候群」の概念も、定義が乱立し、事例を精査すると異なる見立てが混在して使われています。そこで、〈見立て8型〉からこれらを一つずつ見立て直していきます。

 事例詳解・演習(I~IV)

〈上級4型〉の典型的カウンセリング事例の逐語録を2事例ずつ提示し、その異同を明示しながら詳解していきます。

講師紹介

高橋 和巳氏

■精神科医 医学博士 1953年生
風の木クリニック院長(千代田区・麹町)

慶應義塾大学文学部を中退、福島県立医科大学を卒業後、東京医科歯科大学にて睡眠脳波・大脳生理学・脳機能マッピング等の脳科学研究を行った。長く都立松沢病院に勤めて統合失調症などの精神科一般の診療の他、精神科救急やアルコール専門外来、家庭内暴力・拒食症・引きこもり等の家族問題に関わってきた。同院精神科医長を退職後は2004 年に風の木クリニックを開業し診療を続けている。カウンセラーの教育のために当「HCMカウンセリングセミナー」、子ども虐待問題の理解のために「児童虐待防止 支援者のための講座」の講師を続けている。
著書に、『「母と子」という病』(ちくま新書)、『消えたい』、『子は親を救うために「心の病」になる』、『人は変われる』(ちくま文庫)、『新しく生きる』(三五館)、『私は悪い子?』(学習研究社)、『本当のうつ病』(佼成出版社) など多数がある。

野口 洋一氏

■心理カウンセラー 精神保健福祉士 1961年生
あさくさばしファミリーカウンセリングルーム室長(台東区・浅草橋)

早稲田大学、明治学院大学卒業。心理学、精神保健学、ソーシャルワーク等を学ぶ。
栃木県立岡本台病院、大石クリニックに精神科ソーシャルワーカーとして勤務し、主に嗜癖関連問題、家族関係問題に取り組む。その後は1998 年4 月にあさくさばしファミリーカウンセリングルームを開設し、現在に至る。上記の他、引きこもりや摂食障害など思春期の問題や悩み、うつや育児不安など大人のメンタルヘルスに至る幅広い分野でカウンセリングやスーパーヴィジョンを行っている。
プライベートプラクティスの他、現在、都立精神保健福祉センターにてアルコール関連問題・思春期問題助言者、江戸川区、大田区、北区、豊島区、目黒区、練馬区など各区の保健センターにて嗜癖問題、母子保健相談、事例検討会助言者など、公的相談事業にも出務している。著書に『家族の心理 変わる家族の新しいかたち』(金剛出版)がある(分担執筆)。

セミナー参加者のプロフィール

2013 年~2019 年の7 年間のカウンセリングセミナー上級コースの参加者は計532名でした。参加者のプロフィール(資格と所属)を下記に紹介します。(資格は複数回答)

HCM事務局(コスモスバード・カウンセリング内)担当:興津・弓手
〒101-0037 東京都千代田区神田西福田町2-7 DPM神田ビル4F
tel: 03-6811-6858
E-mail: info@hcm-seminar.net