HCMカウンセリングセミナー2023 基本コース

現場を持つ専門職としてカウンセリング・ケースワークを学び直す

2023 年はハイブリッド方式(オンライン+会場) で実施します。

参加者の経験に応じて3つのコースのどこからでもご参加できます。ただし、講義は基本→上級の順で学んでいくように構成されていますので、上級は基本を学んでいることを前提に進みます。この点、ご注意ください。

リーフレット(PDF)

2023案内リーフレットA4版 6枚:セミナーの概要・参加資格・申込方法・日程・講義内容などが記載されています。
ダウンロードして印刷できます。リーフレット郵送をご希望の方は、事務局まで送付先と部数をお知らせください。

以下、このページの本文にその要約を載せています。

セミナーの概要

基本コースでは〈見立て8型メソッド〉の考え方と、その中で重要な見立ての〈基本4 型〉を学びます

医療・保健・福祉・カウンセリングの現場で、治療・ケースワーク・カウンセリングがうまく進まない時、その原因のほとんどは、「見立て」の誤りにあります。「見立て」とはクライアントの悩み・不適応の本質を分類することです
当セミナーでは見立てを8つに分類します。この分類方法が当セミナーの中心となる考え方で < 見立て 8 型メソッド > です。
うつ病を例にして考えてみます。多くのうつ病は (i) 成人期心理的葛藤を土台にして発病します。成人期の場合、治療はよく知られているように服薬と精神療法です。
しかし、(ii) 思春期葛藤を土台にしたうつ病の場合、うつ症状は非定型的(神経症性うつ病・軽症うつ病・「新型うつ病」)となって、抗うつ薬はあまり効きません。症状が発生する土台が親子葛藤にあるため、そこに注目した精神療法が必要になります。
さらに (iii)被虐待体験をかかえた人(=被虐待者「異邦人」)うつ病は、典型的には「反復性うつ病」・「バーンアウト症候群」となり、標準的なうつ病治療法は通用せず大幅に修正して適用する必要があります。
(iv) 認知症 / 高次脳機能障害うつ病の場合は本人の治療よりも家族支援に重点をおくべきです。
このように (i)~(iv) の見立ての違いによって同じうつ病でも治療・ケースワーク・カウンセリングの重点の置き方が異なってきます。基本コースでは全部で8つの見立て= <見立て8型>のうちの4つ、<基本4型>を学びます。
残り 4 つ < 上級4型 > は上級コースで学びます。統合失調症や認知症などの代表的な精神疾患を学んだ専門家であれば、この < 基本4型 > を用いることで、臨床現場で出会う事例の 90% 以上の正確な見立てを作り、治療方針を立てることができます。

講師 高橋和巳 野口洋一

カウンセリング・ケースワークの正確な見立ての作り方を学びます。
正確な見立てに必須の精神医学の知識を学びます。
見立ての基本型4つを逐語録 ( 模擬事例 ) で演習します。

日時 全6回 奇数月の日曜日 午前 10 時~午後 3 時 30 分(会場は 5 時まで)

参加のご案内

基本コース 2023 の日程  奇数月の日曜日(全6回)
① 1 月 15 日(日) ② 3 月 19 日(日)  ③ 5 月 21 日(日)
④ 7 月 30 日(日) ⑤ 9 月10 日(日) ⑥ 11 月 26 日(日)
実施方法 ハイブリッドセミナー
①Zoom を用いたオンライン・リアルタイム配信 +②会場での対面講義
・オンライン配信 (10:00~15:30) は、当日のリアルタイム配信のみで別日での録画配信はありません。
・会場開催では講義終了後、引き続き事例検討会 (15:30~17:00) を行います。
・オンライン配信に関する詳細は、こちらをご参照ください。
参加資格
カウンセリング、ケースワーク、医療、保健、福祉、介護、教育、他の相談業務などに関わる有資格の専門職の方。
1.医師・保健師・看護師・精神保健福祉士・社会福祉士・介護福祉士・公認心理師・臨床心理士・産業カウンセラー等、専門資格(公的資格、民間資格を問いません)をお持ちで、守秘義務を十分に理解する方
2.医学系・心理系・福祉系などの専門学校、大学の学生の場合は事務局で個別の許可を得てください。守秘義務についての説明をさせていただきます。
参加費用 (お支払いはカードもしくは銀行振込です / 金額はすべて税込です)

◆下記の4種類の参加の仕方があります。
①会場通年
②会場スポット
③オンライン通年
④オンラインスポット
※会場の席に余裕がある場合は、「会場スポット」と「オンラインから会場への変更」を承ります(1カ月前にご案内)。
オンライン通年から会場への変更は1回5,000円です。
※会場スポットとオンラインスポットの場合は、『基本コーステキスト第5版』(3,800円送料込)の購入が別途必要になります。

会場:御茶ノ水ソラシティ 1階 RoomB (アクセス

申し込み方法
・HCM メンバー登録済みの方⇒そのままメンバーログインへお進みください。
・HCM メンバー未登録の方⇒メンバー登録申請へお進みください。次に示す 3 段階の手続きが必要です。

①メンバー登録申請:所持資格の登録の他、守秘義務に関する参加規約にご同意をいただきます。

②パスワード設定:参加資格等を HCM 事務局で確認後、3 日以内に承認メールをお送りします。
メール内の説明に沿ってパスワード設定にお進み下さい。また、同じメールで【セミナー受講 ID】をお送りします。これは今後、セミナーを受講する当日に毎回必要になります。大切に保存して下さい。
(上記①②の手続きは初回のみ必要となります。以後の参加申込は下記の③から手続きができます)
③セミナー受講申込:ご希望のコースを選んで、お支払い方法の選択へお進みください。

いったんログアウトした場合は、[マイページ]にログインすると、セミナーにお申込みいただけます。

お支払い完了をもって受講確定となり、セミナーテキストを郵送します。
①銀行振込の場合 → 自動返信メールに記載された銀行口座にお振込ください。
支払期限:
基本+上級コース通年:2023年1月4日(水)
基本コース通年:2023年1月4日(水)
②クレジットカード決済の場合 → 申込時に決済画面に進みます。

お申込の際は下記2つの事務局アドレスからのメールを受信できるように設定してください。
(1) info@hcm-seminar.net (2) no-reply@select-type.com

申込受付開始:2022年12月1日(木)
※スポット参加は実施日の1カ月前から受付します
セミナー中止・欠席に関するキャンセルポリシー

時間割

講義と演習  見立ての〈基本 4 型〉を理解し、正しく見立てる

会場のご参加者には、模擬事例演習の逐語録資料をお手元に配布します(終了後回収 )

1. 1月15日(日)

1〈見立て 8 型メソッド〉 を学ぶ
1 〈見立て8型〉 と ABC3つの基準
A 愛着と愛着障害
B 脳機能障害
C 心理発達段階と倫理規範
2 エリクソン心理発達理論との対比

2正確な「見立て」を作る手順
1 正確な見立てを作る傾聴技法
2 見立ての実際:相談経路から始める評価
3 見立ての〈基本4型〉の重要性:実践データから

2. 3月19日(日)

3定型心理発達 ①成人期
1 成人期葛藤の見立て
カウンセリングの基本技法
2 成人期の精神疾患と治癒過程
うつ病、パニック障害、アルコール依存症など

演習I. 成人期 / 模擬事例
成人期事例のカウンセリング
1 成人期葛藤を見極める
2 成人期葛藤が傾聴によって解決し、症状が治癒する過程を理解する

3. 5月21日(日)

4定型心理発達 ②思春期
1 思春期葛藤の見立て
「大人になる」ために必要な反抗期
2 思春期に特有な精神疾患と治療
摂食障害、引きこもり、薬物乱用など

演習II. 思春期 / 模擬事例
思春期事例のカウンセリング
1 思春期葛藤と親子関係の対立が「痛み分け」になる解決を理解
2 親へのアプローチと、子へのアプローチの違いを理解する

4. 7月30日(日)

5発達障害・「軽度」知的能力障害
1 発達障害の心理、行動、
不適応問題を理解する
2 発達障害の分類と知的能力障害、
境界知能の理解
3 親の発達障害と児童虐待との関係

演習III. 「軽度」知的能力障害 / 模擬事例
「軽度」知的能力障害の見立て方
1 「軽度」知的能力障害~境界知能の領域を見極める
2 鑑別のための質問技法を理解する

5. 9月10日(日)

6非定型心理発達 被虐待者「異邦人」
1 「異邦人」の心理発達過程とカウンセリングの技法
2 「異邦人」に特有の精神疾患
反応性愛着障害、解離性障害、非定型的うつ病、摂食障害など

演習IV. 被虐待者「異邦人」/ 模擬事例
「異邦人」事例のカウンセリング
1 変則的な母子関係の評価方法を理解する
2 能動的受容の必要性とその介入技法を理解する

6. 11月26日(日)

演習V. / 模擬事例
予告なしの事例・応用演習
演習VI. / 模擬事例
予告なしの事例・応用演習

講義・演習内容

見立ての〈基本4型〉を理解するための知識と演習

 カウンセリング講義・精神医学講義

I.正しい見立てを作るために必要な理論を学びます – ABC軸による〈見立て8型メソッド〉

1.ABC軸による見立ての作り方:正しい見立てがなければ、治療・カウンセリング・支援はできません。
< 見立て 8 型 > は現場で必要な見立てを 8 つに絞り、効率的に見立てを作れるシステムです。以下に示す ABC の3つの軸に
よって患者・相談者・クライアントの悩みや不適応の本質(=見立て)を分類します。
A : Attachment 愛着:クライアントの幼少時の養育環境(母子の愛着関係)について判定します
B : Brain dysfunction 脳機能障害:特に発達障害(「軽度」知的能力障害)の有無を判定します
C : life Cycle 心理発達段階:クライアントが成人期の心理発達に達しているか否かを判定します

2.  <5 ステージ傾聴技法 >:傾聴の技法は①正しい見立てを作るためと、②心理発達を促すカウンセリングのために必要です。
5つのステージうち、基本コースでは「stage-1 黙って聴く」と「stage-4 葛藤を聴く」( の一部 ) を講義します。残りの「stage-2 賛成して聴く」と「stage-3 感情を聴く」、「stage-5 理解を伝える」は上級コースで学びます。

II.定型心理発達と関連する精神疾患の理解を深めます

定型心理発達とは、「愛着障害のない」母子相互関係を基盤にした心理発達で、発達理論が暗黙の前提としてきたものです。
1.成人期心理と関連する精神疾患 成人期は、揺れ動く思春期を越えて達成される安定期ですが、その入り口の成人 I 期では、原家族から引き継いだ問題が未解決のまま残り、安定期である成人 II 期に到達するにはこれらを解決しなければなりません。この段階で発生しやすい精神障害は、うつ病(大うつ病・中等度以上)、パニック障害、アルコール依存症などで、その詳しい発生メカニズムを学び、「傾聴の技法」によって、成人 I 期葛藤が解決していく仕組みを理解します。
2.思春期心理と関連する精神疾患 思春期の心的葛藤は、親子間の対立(緊張・暴言・暴力)となって現れます。子が発する問題は、親に自らの生き方を内省させ、修正を迫り、親も子と一緒に揺れます。親子間葛藤による精神的混乱は子の不登校・引きこもりや摂食障害、薬物乱用などに表れます。子が治療に来ることは稀で、親のカウンセリングが必要です。

III.非定型心理発達と関連する精神疾患の理解を深めます

非定型心理発達とは、母親に発達障害や精神障害があるために「愛着のある」母子相互関係を持てずに育った人の心理発達です。母親に発達障害や精神障害があると、子は多かれ少なかれ虐待(ネグレクトは必発で、状況により身体的、心理的、性的虐待が加わります)を受けてしまうことになります。非定型心理発達は被虐待者「異邦人」の心理発達です。
彼らは幼少期から生理的・心理的な欲求を十分に満たされないままに成長します。生理的欲求の充足が少ないと「存在」のリアリティーが希薄になり、心理的欲求の充足が不十分だと(社会的)「自我」を確立することができません。通常の幼児期→学童期→思春期という心理発達をたどることなく、思春期を経ずに成人期に到ります。関連する精神疾患は、反応性愛着障害、脱抑制型対人交流障害、反復性うつ病(バーンアウト症候群)、解離性障害、非定型的摂食障害、パニック障害、不眠などです。

IV.「軽度」知的能力障害・境界知能を理解します
この領域は精神科の臨床でも正確な診断をされることは少なく、その時々の症状によって、境界性人格障害、自己愛性人格障害、うつ病、双極Ⅱ型障害などさまざまな診断名がついています。共通してその背景にあるのは対人理解、社会理解の未熟性(社会的領域の知的機能と適応機能の両面の欠陥:DSM-5)ゆえの不適応状態です。この見立てができるようになると、これまで見えなかったさまざまな側面が明らかになり、治療の方針も立てやすくなります。また、「軽度」知的能力障害は児童虐待が起こる原因とも深く関わっています。児童虐待の死亡事例やその統計、私たちの経験を紹介し、両者の関係を学びます。

 事例検討会

(会場のみのプログラムです / オンライン配信はされません)
参加者から提示された事例を < 見立て 8 型 > と <5ステージ傾聴技法 > で分析し、治療・ケースワーク・カウンセリングの 方針を検討します。カウンセリングを行なっている場合は、ステージ分析を適用して詳細なスーパーヴィジョンを行います。 事例は口頭でもプリントでも提示可能です。詳しい方法は別途お知らせいたします。

 

講師紹介

高橋 和巳氏

■精神科医 医学博士 1953年生
風の木クリニック院長(千代田区・麹町)

慶應義塾大学文学部を中退、福島県立医科大学を卒業後、東京医科歯科大学にて睡眠脳波・大脳生理学・脳機能マッピング等の脳科学研究を行った。長く都立松沢病院に勤めて統合失調症などの精神科一般の診療の他、精神科救急やアルコール専門外来、家庭内暴力・拒食症・引きこもり等の家族問題に関わってきた。同院精神科医長を退職後は2004 年に風の木クリニックを開業し診療を続けている。
カウンセラーの教育のために当「HCM カウンセリングセミナー」の講師を続け、子ども虐待問題の理解のためにさまざまな研修や事例検討を行っている。
著書に、『「母と子」という病』(ちくま新書)、『消えたい』、『子は親を救うために「心の病」になる』、『人は変われる』(ちくま文庫)、『新しく生きる』(三五館)、『私は悪い子?』(学習研究社)、『本当のうつ病』(佼成出版社)など多数がある。

野口 洋一氏

■公認心理師 精神保健福祉士 1961年生
あさくさばしファミリーカウンセリングルーム室長(台東区・浅草橋)

早稲田大学、明治学院大学卒業。心理学、精神保健学、ソーシャルワーク等を学ぶ。栃木県立岡本台病院、大石クリニックに精神科ソーシャルワーカーとして勤務し、主に嗜癖関連問題、家族関係問題に取り組む。その後は1998 年4 月にあさくさばしファミリーカウンセリングルームを開設し、現在に至る。
上記の他、引きこもりや摂食障害など思春期の問題や悩み、うつや育児不安など大人のメンタルヘルスに至る幅広い分野でカウンセリングやスーパーヴィジョンを行っている。プライベートプラクティスの他、現在、東京都精神保健福祉研修講師。都立精神保健福祉センターにてアルコール関連問題・思春期問題助言者。品川区、杉並区、豊島区、練馬区など各区の保健センター、子ども家庭支援センターにて困難事例検討会助言者など、公的相談事業にも出務している。著書に『家族の心理 変わる家族の新しいかたち』(金剛出版)がある(分担執筆)。

セミナー参加者のプロフィール

セミナー参加のために会員登録をしていただきました方々のプロフィール( 資格と所属機関) を円グラフで紹介します。(資格は複数回答です)

◆セミナーお申込の前に、メンバー登録の申請をしてください(随時受付)

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